公開日 2021年04月01日
更新日 2021年04月02日
はじめに
私たちの生活は今、100年に一度と言うべき未曾有の危機に瀕しています。新型コロナウイルスによる感染症の波は押し寄せるたびに高まり、我々の日常に甚大な圧力をかけ続けています。大きな波に呑み込まれず、乗り越えるためには、我々自身が日常を変える「行動変容」と同時にウィズコロナ、アフターコロナを見据えた行財政運営が強く求められております。
つきましては、令和3年度予算案、諸議案の本定例議会への提案にあたり、私の町政運営の基本姿勢・主要施策を申し上げ、町民の皆様及び議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
国は、世界で猛威をふるい深刻な状況にある新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させ、国民の命と健康を守り抜くとしており、経済についても依然として厳しい状況にあることから影響を注視しつつ躊躇なく必要な対策を講ずるとしています。
また、コロナ禍で社会が変容する中、多様な分野でデジタル化への課題が浮き彫りになったことから「デジタル改革」としてデジタル庁を創設、今後5年間で自治体システムの統一、標準化を進めるとしています。さらに2050年カーボンニュートラルを宣言して再生可能エネルギーを思い切って拡充する「グリーン社会の実現」を目指すとしており「グリーン」と「デジタル」で次の成長の原動力をつくり出すとしています。
一方、沖縄県は、新型コロナウイルス感染症の拡大は、多岐にわたる業種で甚大な影響を及ぼし、本県経済が、かつて経験したことのない危機に直面しているとして、県民の生命・財産・雇用・事業を守り抜き、新しい未来に向け、将来を先取りした経済の礎を築く取り組みを求めています。このような状況において持続可能な沖縄の発展、SDGsの実現に向けては、エネルギー分野において、電力事業者と「2050年脱炭素社会の実現に向けての連携協定」でチャレンジングな目標を設定しました。
また、令和4年度は復帰50周年の大きな節目を迎えることから令和3年度に最終年度となる沖縄21世紀ビジョンの総仕上げに取り組むとしており、施策の一つである離島振興においては、条件不利性克服のため交通生活コストの低減、生活環境基盤の整備、過疎・辺地地域の振興、観光リゾート産業の振興、農林水産業の振興等に引き続き、取り組むとしています。
本町においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が長期に停滞、事業者は大幅な減収を余儀なくされています。特に第三波により、裾野が広い観光産業においては危機的な状況にあり、感染症対策と併せて雇用と経済活動の維持に取り組んでまいります。
また、コロナ禍は新しい生活様式の実践だけでなく、働き方、学び方等社会システムの変容を迫っており、GIGAスクール構想、行政サービスのデジタル化を推進してまいります。
令和4年、久米島町は誕生20周年を迎えます。まちづくり施策についても節目の時期となります。令和3年度から5ヵ年の「第2次久米島町総合計画・後期基本計画」が始まり、協働によるまちづくりを継続・推進してまいります。
また、持続可能な開発目標「SDGs」の取り組みとして、令和2年度に策定した2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す「久米島町ゼロカーボンシティ宣言」に基づき、主要戦略である海洋深層水の複合利用計画「久米島モデル」実現のための全体計画策定の調査を行い、大規模取水管導入に向けて取り組んでまいります。
さらに、町土利用の基本方針である「第2次久米島町国土利用計画」が始まります。社会情勢の変化や各計画との整合性等、土地利用の課題や方向性について、町民の皆様の土地利用に対する意見を反映させて、将来にわたり健康で文化的な生活環境の確保、町土の均衡のある発展を図ってまいります。
コロナ禍の状況において、予定していた各種事業、イベント等が軒並み中止又は延期となり、まちづくり推進にも大変な支障を来していることから、官民が一丸となって、この災禍を乗り越え、活力ある久米島町となるよう各施策を推進してまいります。
以上の基本的な方針に基づき、令和3年度に実施する施策について、その骨子を申し上げます。
農林水産業の活性化
農業については、農業従事者の高齢化に伴い、さとうきび等で担い手不足の問題等、大変厳しい経営状況にあります。現状の打開に向けて、沖縄県次世代人材投資事業を活用して、担い手育成を積極的に進めてまいります。また、農地中間管理事業により、担い手のための農地集積を進め、栽培技術や経営能力の向上等、関係機関と連携して、課題解決に取り組んでまいります。
農業の振興
さとうきびの振興については、ハ-ベスター等の農機具導入を支援し、農作業の機械化を推進します。さらに農家に対して優良苗の普及を図ってまいります。また、さとうきび振興協議会への支援、干ばつ・灌水対策の実施、共済掛金の助成、病害虫の防除等により、さとうきびの振興を図ってまいります。
甘しょについては、農家に対して優良苗の普及と生産拡大を図ってまいります。さらに、イモゾウムシの早期根絶を目指して薬剤の助成を引き続き行ってまいります。現在、九州の一部と県内で発生している基腐病により、甘しょ生産量が減少しているため、関係機関と連携して対策を行ってまいります。
花卉の振興については、沖縄県花卉園芸農業協同組合と連携し、生産振興を図ってまいります。
新規就農、新規作物については、野菜栽培やコーヒー、バニラ栽培等に
挑戦する若者、農家に対して、関係機関と連携して支援を行ってまいります。
畜産については、血統矛盾及び新型コロナウイルス感染症拡大により、セリ価格が下落し、大きな影響を受けました。現在、価格は回復傾向にありますが、引き続き、優良雌牛の増頭及び品質向上に取り組んでまいります。また、繁殖雌牛を対象に共済掛金を助成し、JA及び生産者と一体で畜産振興に取り組んでまいります。
令和元年度より、全ての農産物を対象に「収入保険制度」が始まりました。本制度は、品目の枠にとらわれず、自然災害による収量減少だけでなく、価格低下等も含めた収入減少を補償する仕組みです。町としても、関係機関と連携し、周知及び加入促進に取り組んでまいります。
水産業の振興
漁業については、農業と並ぶ島の基幹産業であり、次の施策により漁業振興に取り組んでまいります。水産業は、「浜の活力再生プラン」が水産庁から承認されました。今後、同プランを活用して久米島漁協を中心に各種事業の導入に取り組んでまいります。また、水産物加工処理施設等において、マグロやモズク、車エビを中心とした水産物の加工品を生産、販売することにより、水産業の振興発展、漁業従事者の経営安定と所得向上を図ってまいります。さらに、観光産業と連携を強化し、相乗効果を創出していくことにより、水産業の活性化を図ってまいります。
商工・観光産業の活性化
新型コロナウイルス感染症が長期化する中、それに伴う緊急事態宣言の発出や事業、営業活動の自粛等により町内産業も甚大な影響を受けており、町内事業者の経営継続や経営回復に繋げるため、ECサイト等のオンライン活用を含めた各種施策の実施、事業者への支援・サポートに取り組んでまいります。
令和3年度においては、地域内消費の喚起、経済循環等、コロナ禍からの回復に向け、関係団体と連携を密にして各種事業を実施してまいります。
商工業の振興
商工業の振興については、商工振興の担い手である久米島商工会への支援をはじめ、久米島商工会との連携により、町内事業者の経営継続や経営回復に取り組んでまいります。
久米島紬の振興については、久米島紬販売促進事業のほか、久米島紬支援事業により本町の伝統工芸である「久米島紬」の保存・継承に取り組んでまいります。
夏の一大イベントである「久米島まつり」については、コロナ禍を念頭に置き、通常のリアル開催のほか、オンライン配信等での開催も検討しながら町の活気が取り戻せるよう取り組んでまいります。
観光産業の振興
新型コロナウイルス感染症による渡航往来、来島自粛等の制限により令和2年度の観光入域者数は対前年度比50%減の大幅な落ち込みとなる見込みで、観光産業は多大な影響を受け、経営維持に苦慮し大変厳しい状況下にあります。
長期化するコロナ禍において、観光振興基本計画を基軸とした施策を実施しつつ、ウィズコロナ、アフターコロナ等に対応した施策の実施に取り組んでまいります。
久米島観光プロモーション事業として、ターゲットを明確にした戦略的なプロモーションのほか、アフターコロナの新たな誘客施策としてインバウンド誘客に取り組んでまいります。
ボトム期の誘客と本町の資源を活かした体験型プログラムを素材に誘客・受け入れを推進している教育旅行やMICE等の団体旅行施策により、観光入域の平準化・通年型観光の実現に取り組んでまいります。
休館中のバーデハウス久米島は、観光の中核施設であり、民間提案制度を活用し、健全で安定した管理・運営体制を整え、早期の再開に取り組んでまいります。その他、観光関連施設の管理・運営については、指定管理者制度や外部委託等の手法を用いながら、適正かつ効果的な管理・運営に取り組んでまいります。
スポーツコンベンションの推進については、コロナ禍において実施が見送られた東北楽天ゴールデンイーグルス春季キャンプの再誘致に向けて取り組んでまいります。また、野球を中心としたアマチュアスポーツの合宿、大会誘致にも取り組んでまいります。
観光振興体制強化事業では、観光振興の担い手である久米島町観光協会組織強化の支援、地域おこし協力隊を活用したインバウンド体制の構築に取り組んでまいります。観光振興による地域経営に取り組んでいる久米島版DMO推進協議会への支援により、観光を核としたまちづくりや地域振興、経済活性化の推進に取り組んでまいります。
交通の確保
離島を結ぶ航路は、住民生活や交流人口の拡大、経済活動に欠くことのできないインフラとして大きな役割を果たしています。
航空路、海上航路について、県と連携した「交通コスト負担軽減事業」等を継続的に実施して、町民負担の軽減、観光等の交流人口等の増加に努めてまいります。また、高速船については、関係機関と緊密に連携して導入を検討してまいります。
町民生活の重要な交通手段である路線バスについては、令和3年度より民間事業者への移管を予定しており、生活路線、観光客等の移動手段として利用者サービスの一層の向上を目指して取り組んでまいります。
教育・文化の充実
学校教育の充実
学校教育に求められるのは、変動の激しい21世紀を力強く、逞しく生き抜く「生きる力」を全ての子ども達に育むことにあります。「生きる力」を育むとは、「知・徳・体」調和のとれた子どもの育成だと考えます。その中でも教育委員会では、本町教育の重要項目である『学力の向上』を基軸として、子ども達一人一人に確かな学力を身に付ける取り組みを推進します。
本町では教育理念を『幼児児童生徒一人一人の「確かな学力」を向上させ、「生きる力」を育む』~島に誇りを持ち、心に夢を持てる幼児児童生徒の育成~を掲げ、教育に取り組んでまいりました。これまで教師が授業改善に取り組んできた結果、本町の児童生徒の学力は着実に伸びてきており、ここ数年の全国学力・学習状況調査結果においては、小学校、中学校ともに教科総合でほぼ全国並の結果を出しています。
今後も、この結果を維持し、さらなる向上を目指して引き続き授業改善に取り組んでいくとともに、将来に夢を持ち主体的に学べる児童生徒を育成できるよう各学校の特色を生かした取り組みを支援してまいります。
また継続して、基礎学力向上学習支援員を各学校に配置し、学習への意欲を高め、基礎学力の定着を図ってまいります。特に中学校では学習習慣の定着と学習への興味関心を高めることを目的に、放課後自主学習の場「まなびや」を開設し、生徒の意識改善に取り組んでまいります。
さらに、デジタル教科書やタブレット等のICT機器を積極的かつ効果的に活用すること等で学習意欲及び学力の向上を図ります。併せて「GIGAスクール構想」を計画的に実施し、引き続き学力向上に資するICT利用環境の整備を進めてまいります。
教育活動の中では、人、自然、伝統文化等、地域の豊かな教育資源を活用することや、学校・家庭地域・産業界が連携したキャリア教育を推進することにより、久米島の良さを知り、ふるさとに誇りと愛着を持てる子ども達の育成に努めてまいります。
学校施設の整備については、耐震診断結果を踏まえた耐震補強計画及び令和2年度に策定した学校施設等長寿命化計画を基に、安全な教育環境の充実に努めてまいります。
学校における働き方改革については、『久米島町教職員の働き方改革推進計画』を基に、夏休み期間中の学校閉庁日やリフレッシュウィークの設定及び校務支援システムの活用を推進することで勤務環境を整え教職員の業務負担の軽減に努めてまいります。
幼稚園においては、仲里、清水両幼稚園の園児の状況等に応じた教諭体制で保育面や安全面のさらなる充実を図ります。また、預かり保育については、両園において、これまで通り安全で充実した保育に努めてまいります。
生涯学習の振興
生涯学習の充実を図るため、ヤングフェスティバルや新春書道展、また各種講座・体験活動事業、「親のまなびあいプログラム」を活用した家庭教育支援等を展開し、幼児から高齢者に至るまで町民が生き生きと学習活動ができるよう支援してまいります。
昨年10月末には、久米島町複合型防災・地域交流センターが愛称「ほんのもり」として開館しました。平時は町民の「学び」の場である図書館として、災害時には避難施設として、多くの町民や久米島を訪れる多くの皆様が有効に利用していただけるよう施設運営に努めてまいります。
また、実証事業が終了した「久米島町電子図書館」については、引き続き施設内の図書館と合わせて、町民の皆様へ、より一層読書機会の提供ができるよう読書環境の充実に努めてまいります。
さらに、交流事業として、新潟県十日町市とのなかさと交流、佐賀市との中学生交流、海外ホ-ムスティ事業を継続実施し、児童・生徒の視野を広めるとともに将来の久米島を担う人材育成に取り組んでまいります。
社会体育については、町民の健康・体力増進を図るため、久米島町体育協会等の関係団体と連携を図りながら町民運動会や水泳教室等の各種体育行事を実施します。また、久米島中体連行事としても実施されている伝統的競技である沖縄角力の保存、継承を図るため沖縄角力協会久米島支部と連携を図ってまいります。
文化の振興
文化振興については、町民が文化活動に親しめるよう文化協会と連携を図りながら、関連行事の活性化を促し文化活動の充実発展に努めてまいります。
文化財については、災害により一部崩落した宇江城城跡、具志川城跡石垣の修復を中心に整備を進めてまいります。その他の指定文化財についても修復・維持管理を計画的に行い、学習教材や観光資源として活用されるよう努めてまいります。また、博物館の管理運営においては、収蔵資料の保存管理を始め、企画展、講座、各種教室等の開催により歴史・文化に関する情報の発信にも努めてまいります。
町史編集事業においては、刊行計画のもとに久米島町史「合併20年のあゆみ」の発刊を予定しております。
ホタル館の運営については、これまで同様に飼育展示を通してクメジマボタルを取り巻く自然環境への理解を深めるとともに、希少種等の保護調査や児童生徒の環境学習の場として、また観光客に対する自然学習施設としても効果的な利活用を図ってまいります。
学校給食
学校給食について、発育期にある児童生徒にバランスの取れた栄養豊かな食事を提供することにより、心身の健全な発達を促すだけでなく、正しい食習慣を身につけ、共に食事をすることにより良好な人間関係の育成等、社会教育・健康教育を含めた食育の一環として、取り組んでいるところです。引き続き、学校給食の目的が達成できるよう「安心・安全・美味しい給食」の提供に努めてまいります。また、地産地消の拡大に向けて関係機関と連携を図りながら、地元産の食材を学校給食に活用できるよう取り組んでまいります。
現在、老朽化している学校給食センターは、最新の衛生管理基準に適合した施設整備を行い、安全性の高い学校給食を提供できるよう、引き続き、移転建て替えに取り組んでまいります。
久米島高校魅力化
島唯一の高校である久米島高校は人口減少等に伴う定員割れにより、沖縄県教育委員会から園芸科の廃科案が示されており、将来的に高校の存続自体が危惧される状況は依然として続いています。
高校の存続問題は、町の子育て環境、人材育成、人口等と密接に関連し、生活・経済全体にも影響を及ぼす重要課題であることから、久米島高校と連携を密にしながら高校魅力化事業を推進してまいります。
魅力化事業の一つである、島外からの留学生受け入れは、地元の生徒も良い刺激を受け、国公立大学及び難関私立大学への合格者数の増や進学率が向上する等の相乗効果が出ています。その効果をさらに高めるため、町営塾「久米島学習センター」を「ほんのもり」に移転しました。学習センターでは進学対策や授業の補習、学校の定期テスト対策等一人一人の進路や習熟度に合わせた個別指導を行っており、久米島高校と連携を図りながら生徒の学力及び進学率向上に努めています。
このような取り組みを内外に発信することにより、高校魅力化事業を推進してまいります。
福祉の充実
町民福祉については、緊急の課題である新型コロナウイルス感染症対策を強化するとともに、歯科医院の再開については早急に対策を行い保健・医療・福祉サービスが連携して福祉全体の充実を図り、すべての町民が安心して健やかに暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。
感染症対策
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため島内医療機関と連携を図り、重症化予防のためのワクチン接種を順次実施してまいります。
医療
昨年閉院した仲里歯科診療所について、関係機関との連携を強化して早期に再開できるよう努めてまいります。
母子保健・児童福祉
母子保健については、本町で暮らす妊産婦が安心して出産を迎えられるよう渡航費用の助成額を増額するとともに「こども医療費助成」を15歳までに拡大し、子育て世代の経済的負担を軽減してまいります。
保育園については、町内の潜在保育士及び島外からの保育士の募集や待遇面の改善等による定着を図りながら、保育士不足の解消に取り組んでまいります。
就学前及び就学時の子育て支援については、ファミリーサポートセンター事業の促進や風の帰る森学童クラブに加え、新たな学童クラブを開所し、2ヶ所体制で放課後における児童の健全育成を図ります。また、認定こども園の整備計画についても引き続き取り組んでまいります。
児童福祉については、5歳児健診に加え、発達に特性がみられる子どもたちを早い段階で、専門医や理学療法士等の専門職に診てもらい、また、関係機関との連携・サポートにより、社会生活上の困難さを少しでも解消すべく親子支援事業を引き続き推進してまいります。
児童虐待への対応としては、関係機関と連携を図り、児童虐待に関する現状や町の取り組みについても情報共有に努めてまいります。また、児童福祉司任用研修をはじめとする、各種研修会の受講等により、専門性の強化を図ってまいります。
健康づくり
生活習慣の乱れは、体を徐々に蝕んでいきます。特定健診の受診勧奨及び生活習慣病の重症化予防に向けた取り組みを一層強化し、受診率60%を目標に早い段階から周知活動に努めてまいります。
また、子ども健診について、実施及び事後経過観察を学校と連携して支援し、健診異常率の改善を図ってまいります。
町民一人一人に合った運動指導・食事指導をトレーニングルーム「SMAP」(スマップ)を中心に行い、運動習慣の定着を図りながら、子どもから高齢者まで、町民全世代の健康づくりを支援してまいります。
高齢者福祉
本町でも高齢化率の伸びと共に独居高齢者や夫婦のみの高齢者世帯が増加傾向にあります。また認知症高齢者も増加してきており、今後も増加が見込まれます。多様化する高齢者のニーズに応えるため、国の基本指針に基づき、地域包括ケアシステムの構築を図りながら認知症施策等に取り組んでまいります。
障害者福祉
障害者の社会参加機会の確保や、自立した生活が送れるような共生社会の実現が求められています。引き続き障害福祉関係事業所等と連携を図り、障害者の自立支援に取り組んでまいります。
また、当事者・保護者の高齢化に伴い、現存の障害福祉サービスだけでは支援が満足に行き届かないという問題も抱えておりますので関係機関と連携して、これまで以上に地域で支え合い、切れ目のないサービス提供体制の充実を図ってまいります。
生活困窮者等対策
生活困窮者等、地域の要援護者を早期に把握し、自立・就労に向けた様々な支援サービスを社会福祉協議会と連携し、総合的・一体的に提供してまいります。
少子化対策について
日本の急激な人口減少要因の一つに婚姻率の低下が指摘されています。本町についても、依然として人口減少に歯止めがかからず、前回、全国上位の合計特殊出生率は2.31から2.07へと低下しています。また、日本の若い世代の結婚を妨げる理由として、新居の確保等経済的な不安が要因の一つともされており、将来を担う子どもや、家族を形成していく若者へ、経済的支援を行い、結婚や出産、子育てをしやすい環境づくりを推進して、少子化対策に努めてまいります。
環境保全と地域美化
久米島の豊かな自然を守るため、アーラ岳キクザトサワヘビ生息地保護区の新規指定やサンゴ礁保全再生活動の取り組み等、森と海が一体となるような保全活動を関係機関、団体と連携しながら推進するとともに、ゴミの減量化により快適で潤いのある生活環境の整備に努めてまいります。
ゴミ対策
ゴミ減量のためには、住民の意識改革が必要です。ゴミの分け方、出し方に対する住民意識の啓発やリサイクルシステムの構築に取り組んでいますが、ポイ捨てや不法投棄は依然として見受けられ、特に廃家電製品の投棄が目立つ状況にあることから、区長会、警察と連携して監視を強化し、不法投棄の防止に取り組んでまいります。
漂着ゴミについては、ボランティアによる除去活動を推進するとともに、沖縄県の事業を活用して回収、処理を行うほか、漂着物の調査等、環境教育活動としても取り組んでまいります。
ゴミ処理施設については、老朽化が著しいため、焼却施設の更新に向けて、調査測量及び実施設計に取り組んでまいります。
環境美化・赤土流出対策
地域の環境美化については、町道や公園、観光施設等の除草を継続的に行い、住民・ボランティア団体への花の苗の提供や花いっぱいコンクールの開催等により、緑化推進の意識向上を図り、美しく快適な生活環境づくりに取り組んでまいります。
また、赤土については、農地等からの流出が依然として続いている状況にあります。監視体制の強化を図りながら、赤土流出防止板の設置、グリーンベルトの植え付け奨励、営農指導による農家の意識改革等、久米島町赤土流出防止対策協議会と関係機関が連携して、対策に取り組んでまいります。
生活基盤の整備
町民の生活・福祉の向上及び産業振興の基盤となる町道、農道、農村基盤整備、漁港の整備を継続するとともに、兼城港旅客ターミナル周辺等、公共施設の整備を進めてまいります。
また、県事業として整備を進めています県道、港湾、河川、排水路、水質保全対策等については、早期完成に向け、円滑な事業推進に努めるとともに、他の施設整備についても継続して要望してまいります。さらに、安心・安全な水道水の安定供給を継続するとともに、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全のための下水道整備を引き続き、推進してまいります。
町道整備
比嘉2号線および大原ビーチ線の改良工事については、継続して実施してまいります。また、宇江城城址線については今年度より本工事を実施してまいります。橋梁等長寿命化修繕事業において老朽化が進んでいると判定された橋梁については、実施設計を予定しています。道路の維持管理については、老朽化や損傷度等把握しながら状況に応じて補修や修繕に努めてまいります。
農業基盤整備
水質保全対策事業の耕土流出防止型においては、比屋定地区及び清水地区の整備を行ってまいります。農業基盤整備促進事業においては、農道及び排水路等の生産基盤の整備について継続して取り組んでまいります。農業水路等長寿命化・防災減災事業においては、農業水利施設の維持管理における負担軽減や水管理の省力化及び安全性の向上に取り組みます。また、儀間地区にて、排水路改修を行い農業の持続的な発展を図ってまいります。
さらに農地耕作条件改善事業において、宇江城地区の調査測量を予定しています。
農業基盤整備を必要とする地区については、排水路、沈砂池の整備により、赤土流出防止を図りながら海岸、海域の環境保全に繋げてまいります。
漁港の整備
漁港整備については、次期漁港漁場整備計画を策定するとともに漁業従事者の安全確保と就労環境の改善を図るため、長期計画に基づき適切な維持管理に努めてまいります。
また、儀間・鳥島漁港の護岸等の海岸施設については、長寿命化計画に基づく背後施設の安全確保を図るため、適切な維持管理に努めてまいります。
上下水道事業
上水道事業については、老朽化した管路や配水池等関連施設の計画的な 更新を図るべく、水道施設整備事業の導入に向けた取り組みを行ってまいります。
下水道事業については、前年度に引き続き銭田地区の整備を進め、整備率の向上に努めるとともに、接続率の向上に向けた普及啓発活動を行ってまいります。
安心・安全な生活環境、公営霊園の整備
久米島斎場については、今後も、施設の適正な管理運営と利便性の向上に取り組んでまいります。また、霊園整備については、永代供養型の施設として位牌を収めることが可能となります。その利用促進を図ることにより、空き家対策にも繋げてまいります。
犬・猫の健全な飼育については、予防接種及び去勢・避妊手術を関係機関、団体と連携して取り組み、狂犬病予防やフン被害等の軽減に努めてまいります。
情報通信基盤利活用の推進
新型コロナウイルス感染症により、テレワークの促進、GIGAスクール構想の推進等、ICT環境の重要性は益々高まっています。また、離島の地理的特性を克服する重要なインフラであることから、その利活用と整備について、引き続き関係機関と連携しながら推進してまいります。
再生可能エネルギーの普及・啓発
SDGs目標の一つとして、本年1月に「久米島町ゼロカーボンシティ」を宣言しました。今後は「久米島町エネルギービジョン2020」に沿って、地球温暖化対策に取り組み、海洋温度差発電の実用化や公共施設への太陽光発電装置の設置、児童・生徒対象のエネルギー教室の開催等、町内の再生可能エネルギーの普及・啓発に努め、持続可能なまちづくりを推進してまいります。
また、化石燃料を大量消費する自動車についても動力源を再生可能エネルギ-とするEV車(電気自動車)や超小型電気自動車等、次世代モビリティの導入推進の取り組みを行う他自治体と連携しながら推進してまいります。
消防・防災
気候変動により頻発化、激甚化する自然災害に備えて防災・減災の取り組みを、引き続き推進してまいります。
消防体制強化
複雑・多様化する災害に対応するため、消防職員、団員を消防学校等の研修に派遣し消防業務の知識及び技術の向上を図ります。また、今後、東日本大震災を上回る被害が想定される南海トラフ地震等の大規模災害に備え、緊急消防援助隊の訓練や各種訓練に参加し、本町における大規模災害発生時の受援、応援体制を確立してまいります。
救急業務
救急業務については、救命率の向上、傷病者の負担軽減等質の高い救急医療を住民に提供するため、計画的に病院実習や追加講習を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応等、救急隊員の技術向上と救急出動態勢の強化に取り組んでまいります。
また、本町においても住民によるAEDを活用しての応急手当により救命効果事例がありました。引き続き、町民及び事業所等へ応急手当普及啓発を推進してまいります。
火災予防
住宅火災による死傷者等を未然に防ぐ目的で、設置指導を行っている住宅用火災警報器の設置率の向上及び適切な維持管理を推進してまいります。
また、ホテル、民宿等の防火対象物が安心・安全に利用できるよう立入査察を強化し、違反是正の強化を図ってまいります。
地域防災
地域の防災力を高めるために、消防団や自主防災組織及び女性消防クラブの育成強化を図り「自分たちの地域は自分たちで守る」ことを基本に、社会環境の変化に即した消防防災体制の充実強化を図りながら災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。
防災体制の強化
防災体制については、さまざまな規模の災害に対して迅速・適切に対応できるよう体制の強化を進めてまいります。
災害に強いまちづくりを目指して、防災行政無線のデジタル化等、発信体制の充実を図ると共に、観光客への災害情報発信に取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染防止に対応した避難施設の機能強化、災害対応資機材の備蓄や災害時に備えた物資等の供給体制強化についても引き続き取り組んでまいります。
よって、令和3年度予算案の総額は、
一般会計 7,425,004千円
国民健康保険特別会計 1,040,931千円
後期高齢者医療特別会計 84,567千円
下水道事業特別会計 230,309千円
上水道事業 276,761千円
総 額 9,057,572千円 となります。
以上、令和3年度の町政運営にあたり、私の所信について申し上げてまいりました。新型コロナウイルス感染症の災禍を乗り越え、また「人口減少」に歯止めをかけるという大きな課題と向き合いながら、「すべての世代が生き生きと暮らせる島」「町民が安心して暮らし続けられる島」を目標にし、町民一人一人がともに知恵を出し合い、協力し合いながら行う、協働のまちづくり「夢つむぐ島」の実現に向けて取り組んでまいりますので、町民の皆様と議員各位のご理解、ご協力をお願い申し上げまして施政方針といたします。
令和3年3月8日
久米島町長 大田治雄
お問い合わせ
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